プロフィール
リーマス・ルーピンは『ハリー・ポッターとアズカバンの囚人』から登場する魔法使い。ジェームズ・ポッターやシリウス・ブラックの無二の親友。狼人間という一面を持つ。
フルネーム | リーマス・ジョン・ルーピン |
生年月日 | 1960年3月10日 |
所属寮 | グリフィンドール |
杖 | イトスギの木材、26センチ、ユニコーンの毛 |
性格
控えめで思慮深い
リーマス・ルーピンは控えめで思慮深い性格であると言える。人前にたって目立つことよりも、一歩下がってサポート役やアドバイザー的な立ち位置を好む。実際、学生時代はヤンチャだったジェームズ・ポッターやシリウス・ブラックとは異なり、興味本位で誰かに呪いをかけたり、からかったりすることはなかった。とはいえ、ジェームズ達の愚行を完全に止めることはできなかった。
それでも、リーマスの存在はジェームズやシリウスにとって、ある種の「ストッパー」として機能していたようで、彼らの行動に歯止めをかけることができたのは、リーマスだけだったと思われる。シリウスは、学生時代のリーマスについて次のように述べている。
「まあ、いわば」シリウスが言った。
「君(リーマス)は、ときどき僕たちのやっていることを恥ずかしいと思わせてくれた……それが大事だった……」
『ハリー・ポッターと不死鳥の騎士団』第29章:進路指導
無謀な一面も
一方、リーマスには少々無謀な一面もある。
その最たる例は、ジェームズ、シリウス、ピーターが無許可の「動物もどき」となることに加担していたことだろう。無許可の「動物もどき」は違法行為であり、さらに「動物もどき」となるプロセスそのものが危険に満ちている。(失敗すれば半分動物、半分人間という状態になり得ない。)
しかしリーマスは、彼らが動物もどきの能力を習得したことを喜び、狼人間として狼に変身した際は、動物の姿で夜な夜なホグワーツやホグズミードをうろついた。
これは一歩間違えれば、ホグワーツの生徒、ホグズミードの住人、そしてジェームズ達を危険にさらす行為である。また、ダンブルドアがリーマスをホグワーツに受け入れるために施した安全措置を完全に無視している。しかしリーマスは、親友たちと過ごすという楽しみを優先し、この無謀な行為をやめる事はなかった。
当時の様子をリーマスは次のように振り返っている。
「それでもまだとっても危険だわ! 暗い中を狼人間と走り回るなんて! もし狼人間がみんなをうまく撒いて、誰かに噛みついたらどうなったの?」(ハーマイオニー)
「それを思うと、いまでもぞっとする」 ルーピンの声は重苦しかった。
「あわや、ということがあった。何回もね。あとになってみんなで笑い話にしたものだ。若かったし、浅はかだった。――自分たちの才能に酔っていたんだ」
「もちろん、ダンブルドアの信頼を裏切っているという罪悪感を、私は時折感じていた。……ほかの校長ならけっして許さなかっただろうに、ダンブルドアは私がホグワーツに入学することを許可した。私と周りの者の両方の安全のために、ダンブルドアが決めたルールを、私が破っているとは、夢にも思わなかっただろう。私のために、三人の学友を非合法の『動物もどき』にしてしまったことを、ダンブルドアは知らなかった。しかし、みんなで翌月の冒険を計画するたびに、私は都合よく罪の意識を忘れた。そして、私はいまでもその時と変わっていない……」 ルーピンの顔が強ばり、声には自己嫌悪の響きがあった。
『ハリー・ポッターとアズカバンの囚人』第18章:ムーニー、ワームテール、パッドフット、プロングス
コンプレックス
リーマスは自身が「狼人間」であることに強いコンプレックスを抱いている。そのため、ホグワーツを卒業後、狼人間であることを周囲に知られないよう神経質になるあまり、職場を転々とし、人との関わりを極端に避け、その日暮らしをするようになった。当時のリーマスの様子は『エッセイ集ホグワーツ:勇気と苦難と危険な道楽』で次のように語られている。
ヨークシャーにある、廃虚のような朽ちかけたコテージでリーマスが寝起きしていることを突きとめたダンブルドアは、そのコテージを訪ねてきました。校長に会えて喜ぶリーマスに、ダンブルドアは驚くべき話を持ちかけます。ホグワーツで、「闇の魔術に対する防衛術」を教えないかというのです。
『エッセイ集ホグワーツ:勇気と苦難と危険な道楽』第2章:リーマス・ルーピン
また、リーマスは自身のコンプレックスから、妻であるトンクスと息子(テディ・ルーピン)を遠ざけるような行動をとったこともある。というのも、「狼人間である自分が子供を作ってしまったこと」「子供に狼人間を遺伝させてしまったかもしれないこと」に対して、自責の念に駆られたからである。それほど「狼人間」へのコンプレックスは強く、リーマスを長年苦しめた。
しかしその後、ハリーに諭され「父親として妻と子どもと一緒にいるべき」であると考えを改め、その後はトンクスのもとに戻った。
外見
リーマスは年齢の割に老け込み、いつも疲れたような顔していることが描かれている。初めてリーマスが登場した『ハリー・ポッターとアズカバンの囚人』では、次のように描かれている。
見知らぬ客(リーマス)は、あちこち継ぎの当たった、かなりみすぼらしいローブを着ていた。疲れ果てて、病んでいるようにも見えた。まだかなり若いのに、鳶色の髪は白髪混じりだった。
『ハリー・ポッターとアズカバンの囚人』第5章:吸魂鬼
リーマスがこのような外見をしているのには理由がある。
ひとつは、長年に渡って貧困生活を余儀なくされていたからだと思われる。狼人間であるリーマスは、魔法界の表社会から離れ、低賃金の労働に従事していたため、辛労が多かったと思われる。
さらに、狼人間は変身のたびに苦痛を伴い、体力を消耗する。リーマスの「持病」ともいえるこの苦痛が、彼を精神的にも肉体的にも追い込んでいたことは、安易に想像できるだろう。
また、狼人間に変身した後のリーマスは、病的にやつれている。ホグワーツで教鞭をとっていた頃のリーマスには次のような状況で授業を行うこともあった。
本当に病気だったように見えた。くたびれたローブが前よりもだらりと垂れ下がり、目の下にくまができていた。それでも、生徒が席につくと、先生はみんなに微笑みかけた。
『ハリー・ポッターとアズカバンの囚人』第10章:忍びの地図
主な活躍
不死鳥の騎士団のメンバー
リーマスは不死鳥の騎士団の初期メンバーの一人である。
ホグワーツ卒業後、勢力を拡大するヴォルデモート陣営に対抗するため、ダンブルドアの召集に応じ、メンバーに加わった。
狼人間としての諜報活動
リーマスは狼人間であることを活かし、諜報活動を行っている。
他の狼人間に働きかけ、ダンブルドア陣営に協力するよう説得したり、ヴォルデモートに協力している狼人間の情報を集めていた。
「ほとんど全員がヴォルデモート側でね。ダンブルドアがスパイを必要としていたし、わたしは……お誂え向きだった」 声に少し皮肉な響きがあった。自分でもそれに気づいたのか、ルーピンはやや温かく微笑みながら言葉を続けた。
「不平を言っているわけではないんだよ。必要な仕事だし、私ほどその仕事にふさわしい者はいないだろう? ただ、連中の信用を得るのは難しい。私が魔法使いのただ中で生きようとしてきたことは、まあ、隠しようもない。ところが連中は通常の社会を避け、周辺で生きてきた。盗んだり――ときには殺したり――食っていくためにね」
『ハリー・ポッターと謎のプリンス』第16章:冷え冷えとしたクリスマス
ハリーに守護霊の術(パトローナスの呪文)を伝授
リーマスはハリーに「パトローナスの呪文(守護霊の呪文)」を伝授した。リーマスは「パトローナスの呪文は自分の専門分野ではない」と言いながら、わずか13歳のハリーがパトローナスを使えるよう指導した。これは、リーマスがいかに優れた教師であるかを物語っている。
交友関係
無二の親友たち
リーマスはジェームズ・ポッター、シリウス・ブラック、ピーター・ペテュグリューと無二の親友であった。
トンクスとの関係
リーマスはニンファドーラ・トンクスと結婚した。トンクスとは不死鳥の騎士団の活動で知り合い、任務を共にするうちに相思相愛となった。
一方、リーマスはトンクスを愛していながら、自分が狼人間であることを理由に、結婚後も複雑な心境だった。というのも、狼人間は魔法界では忌み嫌われる存在であり、そんな自分と結婚した後のトンクスの社会的な立場や、トンクスの親族からの批判を気にしたからである。
能力・特技
優れた教師
リーマスは闇の魔術に対する防衛術の先生として、非常に評価が高かった。リーマスは防衛術や闇の生物への対処法を実戦形式で生徒に伝授し、生徒が効果的に技術と知識を深められるよう工夫を施していた。リーマスの教師としての評価は次のように描かれている。
「ルーピン先生のことを言ってるなら」ディーンの声が怒っていた。
「いままでで最高の先生だった――」
『ハリー・ポッターと不死鳥の騎士団』第12章:アンブリッジ先生